今回は、モバイル機器が通信するために必須の機能である、「基地局」のお話です。
公式テキストの他に、以下も参考にしました。是非合わせてご覧ください^^

書籍「携帯電話はなぜ繋がるのか」

「LTEのネットワーク技術-@IT」

次世代の無線技術、LTEの仕組みが分かる(5):LTEのネットワーク技術 (2/2) – @IT

eNodeBとは?

eNodeBはE-UTRANにおける基地局のことです。E-UTRANとは、発展型無線アクセスネットワークであり、Release8のLTEから導入されています。以前の3Gシステムでは基地局とRNCの2つに分かれていた機能を、eNodeB1つに収容し簡素化されました。

eNodeBの特徴は?

①小型・軽量・省電力

歪補償技術(DPD:Digital Pre Distortion)をベースにした高効率アンプや高集積化デバイスを採用しています。また、アーキテクチャ見直しにより部品点数も削減しています。

②自由度の高い設置

屋外向けに開発されたBBU(Base Band Unit)とRRH(Remote Radio Head)は、電柱や壁面に取り付けることが可能で、それぞれ分離させて設置することも可能です。

③柔軟な装置構成

移動体通信事業者が要望するシステム案件(セクタ数や帯域幅)に合わせて、最適なハードウェア・ソフトウェアによる柔軟な構成が可能です。

④保守の容易性

遠隔でのソフトウェア更新により、機能追加・修正が容易に可能です。また、自律的な保守診断機能を備え、故障部位の早期特定ができます。万が一故障した際は、一部機能を縮退させてシステム動作の継続が可能です。

eNodeBの構成は?

BBU(Base Band Unit)RRH(Remote Radio Head)の2つで構成されます。

BBU(制御・ベースバンド部)

デジタルベースバンド信号処理機能として、コアネットワークから受信したIPパケットをデジタルベースバンド信号に変調しRRHへ送信します。反対に、RRHから受信したデジタルベースバンド信号はIPパケットへ復調し、コアネットワークへ送信します。
他にも、S1回線(コアネットワークとの接続)の終端処理、X2回線(隣接eNodeBとの接続)の終端処理、呼処理、監視制御処理などを行います。

①CNT
IPレイヤのプロトコル処理、呼制御処理(Cell lock、Radio admission control等)、OAM処理(Performance Management、Cell Supervision、Call Trace等)、NAT処理、S1/X2回線終端処理、帯域制御処理、各機能部からの障害情報の収集、装置障害監視処理などを行います。
SON(Self Organizing Network)もここに収容されます。

②BB
RLC・PDCP・MAC・PHYの各レイヤのプロトコル処理を行います。MIMO処理、多値変調処理、OFDMA処理、SC-FDMA処理、AMC処理、HARQ処理、電力制御処理、セル間干渉制御処理などデジタルベースバンド処理を行う機能部です。また、機能拡張はソフトウェアのダウンロードで実施することが出来ます。

RRH(無線部)

無線信号の送受信をする装置です。BBUから受信したデジタルベースバンド信号をTRXでRF信号に変換し、AMPで電力増幅しUEに送信します。反対に、UEから受信したRF信号は、デジタルベースバンド信号に変換し、BBUへ送信します。

①TRX
送信信号の歪補償処理、D/A変換処理、A/D変換処理などの無線信号処理を行う機能部です。

②AMP
無線信号の送信電力増幅を行う機能部です。

eNodeBのその他の機能

SON

(Self Organizing Network)
運用中のUE・eNodeBからデータを収集・分析し、自律的にネットワークを最適化するシステムです。品質向上と運用管理のコスト削減に繋げています。
主に3つの機能を持ちます。

①Self-Configuration (自動設定)
隣接したeNodeBを認証し、ハンドオーバやカバーエリアの調整を行います。

②Self-Optimization (自動最適化)
eNodeBからのデータをもとにネットワークをチューニングし、トラフィックの負荷を分散させます。

③Self-Healing (自動修復)
大規模なトラブルに見舞われた際、原因の特定から復旧までを行います。

SONについて、さらに詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

次世代の無線技術、LTEの仕組みが分かる(5):LTEのネットワーク技術 (1/2) – @IT

ICIC

(Inter Cell Interference Coordination)
隣接セルとの境界で、同一周波数の無線信号が使用された場合に発生する電波干渉を避けるために、隣接するeNodeBが自律的に異なる周波数の無線リソースを割り当てる技術です。これにより、セル境界に位置するUEのスループットを向上させます。

最後に

以上、eNodeBがもつ技術についてのお話でした。
また、「ベースバンド処理をクラウド化し、光ファイバーやマイクロ波でRRHと結ぶ」という新技術もあるようです。

高密度な基地局を結びつける、ファーウェイのソリューションとは – ケータイ Watch

これは一例ですが、今後LTE-Advancedの導入により、基地局側の技術も大幅にアップデートされていく必要がありますね!

無線エンジニアとしてこれからも、技術の進化に遅れないようにしていかなければ!!

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